「ベジタリアンの医学」
ベジタリアンについて、医学的な視点から書かれた本。
著書がアメリカで活動しているので、アメリカ人のデータに基づいている記述が多い。
結論としては、「適切に準備されたベジタリアン食」は、健康の維持・増進と病気の予防に役立つ、というもの。
原因は、肉によるタンパク質や脂質の取り過ぎがなくなること、肉を食べないことで様々な病気に効果的な野菜の栄養素が摂る機会が増えること、等が考えられるが、総合的な食生活として非ベジタリアン食よりも病気予防という点では優れているということだろう。
では実際に「適切に準備する」には、どうするのか?
そのためには、以下の3点を心がける。
- 摂取エネルギーの設定
- 三大栄養素の配分
- ビタミン・ミネラルの摂取量の確認
以下、ベジタリアン食の栄養素について本書の内容をまとめておく。
タンパク質
アミノ酸は蓄えられるので、一度の食事で組み合わせなくてもよい。
大豆は必須アミノ酸全て含む。
脂質
また青魚も不飽和脂肪酸が多い。
ビタミン
ビタミンB12は、所要量を得るために動物性食品の利用が必要な唯一の必須栄養素。
藻類や大豆のビタミンB12は不活性なので当てにしない方がよい。
ビタミンB12は体内に貯蔵されているので、菜食始めたばかりだと摂取が不足してもしばらく大丈夫だか、後から欠乏症になる危険がある。そのため、ちゃんと所要量を摂取できているか意識して注意する必要がある。
ミネラル
鉄については、菜食が鉄分不足を指摘されるのは、植物性は非ヘム鉄で利用効率がよくないため。ビタミンCと一緒にとるとよい。
取りすぎるとだめなのでサプリは不要。
カルシウムは、ヴィーガンでも問題なし。
大豆、豆乳、ブロッコリー、ケール、オクラなどでとれる。
ファイトケミカル
そのため抗酸化成分・酵素が大切と言われている。
植物に含まれるこれらの成分をファイトケミカルという(Phytoは植物のこと)。
ブルーベリーのアントシアニンは目に良い。冷凍でも良いので取り入れやすい。
その他気になった点
ペスコベジタリアンの注意点としては、食物連鎖の上位に位置するマグロなどの大型回遊魚は水銀の蓄積が心配なので、アジやイワシなどの小型の魚がお勧め。つまり、植物プランクトンを食べているようなベジタリアンの魚を選ぶ方がよいということ。
減塩を意識して、豆腐等の大豆製品や魚等でタンパク質を摂る等、和食をベースに工夫すればOK。
持久系アスリートは体重1キロあたり、1.2-1.4グラムのタンパク質が必要。
フルータリアンやローフードだけたいった不適切な食事は栄養学的には問題あり。
おひたしなど加熱した野菜も摂った方がよい。
特に小児は栄養障害が出やすいので注意する。
感想
元々ランニングのために、肉を控えることを目的として読んでいるので、肉を食べないことで、栄養学的に問題がないのかを知りたかった。
ラクト・オボベジタリアンは栄養学的には全く問題ないが、日本で外食することを考えると、やはり実践するのが難しい。
上記2つに対して、ペスコ・ベジタリアンは栄養学的にも問題はなく、外食も日本では困らない。欧米で一般的なベジタリアン食とは言えないが、肉を摂る非ベジタリアン食に比べて、病気予防等の恩恵を受けつつ、日本で実践が容易なので現実的な選択肢だと思う。
実際に3週間ほど肉から魚に切り替えてみて、筋肉量を増やしつつ、体重・体脂肪をかなり減らすことに成功したので、このままベスコ・ベジタリアン食を続けてみようと思う。